保育園は、子どもたちが一日の多くを過ごす場所です。昨日までできなかったことが今日はできるようになったり、今まで感じたことのない気持ちで一杯になったり、その一つ一つが喜びや、乗り越えていく道となり、今日一日が満ち足りていくのでしょう。
それを「育ち」と自分では思っています。
長い間何気なく見てきた保育の様子から、大切なのは子どもたちと保育者の信頼関係で、信頼が生み出す安心があるからこそのびのびとした自由な遊びがあり、「育ち」につながるのではと思いました。
建物も同じではないか、子どもたちにとって、じっと見守ってくれる、いつでも逃げ帰れる、自然との多様なふれあいを通じて遊んでくれる、そんな保育者のような園舎を目指しました。
職員室前の巾広い縁側はみんなが行き交う大通りとなるように。
各クラスの前にある8畳ほどの部屋のような半屋外テラスは、何でもできる外の居間として。
そして建物まわりの軒下空間は子どもたちに太陽や風や水や土のある、それでいて建物に抱かれるような安心感を持ちながら遊べる空間です。
ひよこ、こっこより自然がすこし少ない立地ですが、この軒下を支えるたくさんの柱は、自然の木のかわりに子どもたちに寄り添ってくれるのです。
木造平屋の4つの分棟を渡りでつなぎ、それぞれの保育室にテラスや軒下空間を設け、太陽や風や水や土がたっぷりある園舎とした。
軒を支えるたくさんの柱は1本1本が園庭に生える木のように子どもの遊びの拠りどころになってくれたらと思っている。
杉は木の中でも柔らかな材料です。空隙が多い杉の繊維はクッションのようです。
触っても柔らかさを感じますが、音や光や熱についても同じように柔らかく反射します。
子どもたちをそんな杉で包むことで、安らぎの場をつくろうと思いました。
各保育室棟の内部は全面が木仕上げで、天井・壁を杉板(床はメンテナンス重視でなら複合フローリング)としている。
陽当たり明るさ風通しと空を室内に導く高天井の空間は、木の柔らかさに包まれた子どもたちの拠点である。
2つのクラスが合体した幼児棟にはクラス毎に専用のテラスを設けた。
机の置ける半外部空間は食寝を分ける2つの屋内部屋にプラスされる第三の保育室をイメージしている。
サンルームは広々と使えるように2クラス一体です。食事や遊びに活用します。
各クラスに設けた半屋外のテラスは、外の居間のイメージです。色々な使い方で楽しんでください。
部屋の奥まで光を届けるために屋根を兜のような形状にしました。
室内では吹き抜けの高いところに空が見えます。
建物を可能な限り分棟化し有効に設けた開口や吹き抜けの窓によって、明るく、風通しが良い、自然の心地良さを感じる保育室を目指しました。
乳児園庭は建物に囲まれた大きすぎず小さすぎずの落ち着きのある専用園庭
玄関アプローチに隣接させて色々な人たちとの交流も自然に行える配置としている。
幼児ゾーンから調理室が見渡せるように配置しました。「ごはんの小径」と呼んでください。
ホールは無柱とするため、特殊なトラス形状の架構とし、
明るさ風通しのための窓をトラスの上部に合わせて設け、低い天井ながら圧迫感のないすっきり伸びやかな空間となるようにした。
何といっても園の中心は「食」です。みんなの集いの場として、囲炉裏や大黒柱を設けました。
調理室は食堂と一体的に玄関に隣接して設け、みんなの集いの場となるようにした。
食堂の大黒柱(24センチ角)とともに、園の重心をなしている。
乳児棟から見通しの効く配置とし、食への意欲を育ちにつなげようとしている。